2012年 04月 01日
選択バイアスの罠 ~ 生還した戦闘機に装甲は不要 |
先日、会社で社外の講師をお招きしたマーケティングの研修があり、そこでとても面白い話を聞いたので紹介します。
太平洋戦争の最中、激戦が続く南方戦線で出撃する戦闘機の生還率が日に日に低下することに危機感をもった日本空軍が、戦闘機の装甲を強化することを検討しました。このとき、帝国大学で統計学の権威である割戸博士が軍の南方拠点であるワルド環礁に召喚され、生還した戦闘機の被害状況をつぶさに調査しました。
調査の結果は驚くべきものでした。生還した戦闘機にはまったく敵の攻撃の痕がありません。被弾状況から脆弱な部位を特定し、そこを装甲すればよいと考えていた割戸博士は思考停止してしまいました。そこでやむなく割戸博士は軍の関係者に次の勧告をしました。
いかがですか。この話のポイントは2点あります。1点目は、最初から結論に選択肢という予断(この例では「装甲の強化」)を持ってしまうと、根本的な変革(この例では「装甲の撤廃」)が困難であること。2点目は、予断を持ってしまうと、周囲の空気を読めなくなることです。ビジネスの世界では、これを「選択バイアスの罠」と呼んでいます。
言われてみると、たしかにそういうことにしばしば遭遇します。上司から「○○せよ」と結論を指示されると、本当はしないことが最善と判明しても、苦渋の選択でやってしまい、多くの場合、失敗してしまいます。
この研修の後、これからは選択バイアスの罠に陥らない勇気を持ってビジネスに取り組まないといけない、との思いを新たにした筆者でした。
▼撮影機材
EOS-1N HS, EF300mm F2.8L USM
1995年5月3日 龍ヶ崎飛行場にて
太平洋戦争の最中、激戦が続く南方戦線で出撃する戦闘機の生還率が日に日に低下することに危機感をもった日本空軍が、戦闘機の装甲を強化することを検討しました。このとき、帝国大学で統計学の権威である割戸博士が軍の南方拠点であるワルド環礁に召喚され、生還した戦闘機の被害状況をつぶさに調査しました。
生還した戦闘機はどれも被弾していない。これは、戦闘機が全体的に脆弱で、どこに被弾しても致命傷になってしまうことを意味している。可能な限り装甲を強化すべきだが、闇雲な装甲強化は飛行性能低下につながるので、まずは経験的に脆弱性が判明している操縦席、燃料タンク、エンジンの周囲を重点的に装甲し、生還率の変化を継続調査すべきである。これに対し、軍関係者はみな猛然と反論しました。
生還した戦闘機は被弾していない。つまり、被弾しなければ生還できるわけだ。であるなら、装甲はそもそも無くてもよいではないか。装甲をすべて廃止すれば、戦闘機を軽量化でき飛行性能が向上し、より被弾しにくくなる上、貴重な金属資源を節約できる。一石二鳥の名案だ。装甲に頼る考えは精神的な弛みに他ならない。こんな勧告をする割戸は非国民だ。かくして、日本空軍の戦闘機はすべて装甲を外され、非国民と断罪された割戸博士はワルド環礁で強制労働の末、病死してしまいました。
いかがですか。この話のポイントは2点あります。1点目は、最初から結論に選択肢という予断(この例では「装甲の強化」)を持ってしまうと、根本的な変革(この例では「装甲の撤廃」)が困難であること。2点目は、予断を持ってしまうと、周囲の空気を読めなくなることです。ビジネスの世界では、これを「選択バイアスの罠」と呼んでいます。
言われてみると、たしかにそういうことにしばしば遭遇します。上司から「○○せよ」と結論を指示されると、本当はしないことが最善と判明しても、苦渋の選択でやってしまい、多くの場合、失敗してしまいます。
この研修の後、これからは選択バイアスの罠に陥らない勇気を持ってビジネスに取り組まないといけない、との思いを新たにした筆者でした。
▼撮影機材
EOS-1N HS, EF300mm F2.8L USM
1995年5月3日 龍ヶ崎飛行場にて
by aim-120a
| 2012-04-01 00:00
| エイプリルフール
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Comments(7)
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MAT
at 2012-04-03 22:46
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おや、撮影機材が書かれてる。って事は2機並んだ写真はSuzumeさんが撮ったの?? どうしたら、こんなんが撮れるのだろう。。。
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aim-120a at 2012-04-04 12:44
1995年にP-51と零戦が来日してエアショーがあったんですよ。そのときのショットです。
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MAT
at 2012-04-04 20:51
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なるほど、機種の謎は解けましたが、アングルが・・・。
なんで飛んでいる(と思われる)飛行機がこのアングルで??
斜め飛行をしている様にも見えないのですが。。。僕はエアショーを見た事が無いので謎めいて見えます。
なんで飛んでいる(と思われる)飛行機がこのアングルで??
斜め飛行をしている様にも見えないのですが。。。僕はエアショーを見た事が無いので謎めいて見えます。
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aim-120a at 2012-04-06 09:28
2機が編隊くんで会場左手後方からバンクとって右旋回しながら右手後方に抜けていくと、会場正面でこんな絵が撮れるんですよ。
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MAT
at 2012-04-06 20:04
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へぇ~、カッコいいアングルですね。
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G3
at 2020-04-24 09:04
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エイブラハム・ウォールド(ワルド)の有名なハナシですよね?ウォールドは生還機の被弾状況から「被弾していない箇所を強化しろ」と軍に助言し爆撃機の改善で成果を上げたというハナシのはずです。
その講師はなぜわざわざ旧日本軍の無能っぷりを示すような独自のフィクションに置き換えたのか謎ですね。
その講師はなぜわざわざ旧日本軍の無能っぷりを示すような独自のフィクションに置き換えたのか謎ですね。
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aim-120a at 2020-04-24 12:04
この記事の日付、記事カテゴリ、タグあたりを注意深く見ていただければ、疑問はたちどころに氷解すると思います。